2014年06月05日

第1回「マルチ商法とねずみ講について」

1 まず、マルチ商法とねずみ講の違いについて、ご説明します。
2 ねずみ講とは、メンバーに金品を出させてグループを作り、新しいメンバーが加入するたびに、そのメン バーから取った金品をグループ内で分配する仕組みのことをいいます。
  
  具体的な例を挙げて、ご説明します。
  
  例えば、Aさんが創始者となって、Bさん、Cさんを勧誘します。
  Bさん、Cさんには、入会金をそれぞれ2万円ずつ支払わせ、さらにそれぞれ二人のメンバーを勧誘する ように指示します。
  BさんはDさんEさんを、CさんはFさんGさんを勧誘し、入会金をそれぞれ2万円ずつ支払わせます。
  このようにして集まったお金を、創始者や初期のメンバーで山分けし、さらに新しいメンバーを勧誘す る・・・

  これが、ねずみ講の仕組みですが、人口には限りがある以上、これは破綻必死のシステムであることが分 かると思います。

  そして、楽してお金を儲けたいという射幸心をあおり、勤労意欲を喪失させるという反社会性が強いた  め、「無限連鎖講の防止に関する法律」によって、罰則をもって全面的に禁止されています。
  
3 これに対して、マルチ商法とは、ねずみ講と同じく組織を拡大して利益を上げる仕組みですが、ねずみ講 が金品配当組織であるのに対し、マルチ商法は、商品販売組織であるという違いがあります。

  具体的な例を挙げてご説明します。

  例えば、ある事業者の取り扱う健康食品を販売する組織があり、Aさんが、その組織に加入するには、登 録料として10万円を支払うほかに、その健康食品を10ケース購入する必要がある。
  そして、他の人をこの組織に加入させた場合、その人が事業者に支払う商品代金の10パーセントがAさ んに支払われ、Aさんが多くの人を加入させれば、組織内のランクがあがり、Aさんの取得する金額も多額 になるという仕組みです。

  マルチ商法は、ねずみ講と本質的には同様の危険性があるものの、商品流通の側面を有し、正常な経済活 動との限界があいまいなため、それ自体は禁止せず、「特定商取引法」という法律によって、様々な規制が なされています。

4 マルチ商法の問題点としては、次のようなものが挙げられます。

  まず、ねずみ講と同様に、組織が無限に拡大していくわけではないのに、あたかも無限に誰もが儲かって いくかのような説明がなされることがあるという点です。

  次に、組織を拡大して利益を上げるという性質上、欺罔的で執拗な勧誘がなされるおそれがあるという点 です。

  そして、これが一番の問題点だと思いますが、消費者自身が事業者となって新たな勧誘を行うという点で す。
  特定商取引法などについて無理解な消費者が、知らないうちに違法不当な勧誘をしてしまう可能性がある という点です。

5 マルチ商法は、先ほど述べたように、それ自体は違法な商法ではなく、健全な組織も存在します。
  しかし、今述べてきたように、危険性を有しているということも間違いありません。
  勧誘してくる人が、知り合いであり、断りづらいということもあるかもしれませんが、その危険性を理解 し、ちょっと立ち止まって考えてみるということが大事だと思います。
  もし契約した場合でも、一定期間内であればクーリングオフが可能です。

  消費者被害に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所まで。
  http://jwing-lawoffice.com
posted by 弁護士羽賀裕之 at 21:33| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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