通常のネットオークションとの比較で説明しますと、通常のネットオークションは、出品者が出品手数料 等を支払い、入札者は落札した場合のみお金(落札額)を支払います。落札価格も入札者が決定します。
通常のネットオークションでは、出品者からの手数料収入によって運営されています。
これに対し、ペニーオークションでは、まず出品物は運営者が用意します。
当然、出品手数料はかかりません。
逆に、入札者は、入札するごとに手数料を支払わなければなりません。
そして、入札額は、入札ごとに自動的に上がっていきます。入札には制限時間が設けられているのです が、制限時間が迫っても、新たに入札が行われれば時間が延長されます。新たに入札が行われる限り、入札 額は無限に上がり続けます。
この仕組みから分かるように、運営者は、入札者からの手数料及び落札されたお金から収入を得ることに なります。
2 もっとも、ペニーオークションというシステム自体は詐欺ではありません。
詐欺というのは、嘘を言って、被害者からお金をだまし取る行為をいいますが、ペニーオークション運 営者は嘘を言っているわけではありません。
3 先日、ペニーオークションに関して、詐欺事件が発生しましたが、今回の運営者は、運営側がロボットを 使って、自動的に入札する仕組みを利用していました。
制限時間間際になっても、運営会社側によって新たな入札が行われ続けるため、一般の入札者は一向に落 札することが出来ず、手数料だけ支払うことになってしまうという仕組みでした。
これは、運営者側が、落札できない仕組みにもかかわらず、落札できると嘘を言い、入札者にお金を支払 わせていたので、詐欺にあたります。
4 タレントで、頼まれて、お金をもらい、落札していない商品を落札したかのようにブログに載せた方がい らっしゃいましたが、あれは、詐欺にあたらないかが問題となります。
先ほども述べたように、詐欺というのは、嘘を言って、被害者からお金をだまし取る行為をいいます。
つまり、被害者からお金を取る目的のもと、被害者にお金を出させるような嘘を言って、お金を支払わせ ると詐欺になります。
単純に嘘を言っただけでは詐欺にあたりません。
タレントの行為について言うと、たしかに嘘は言っていますが、お金を取る目的のもと、お金を出させる 行為というのがありません。
もちろん、運営者からお金をもらっていて、運営者とグルになっていれば、共犯ということで詐欺になり ます。
しかし、今回はそのようなことはなかったらしいので、詐欺というのは難しいでしょう。
5 しかし、だからといって嘘をつくのはよくありません。
特に、このペニーオークションというのは、先ほどの話からも分かるように、ギャンブル性があります。
つまり、落札できるかどうか分からないものに対して、お金をつぎ込む。そして、場合によっては、市場 価格よりも安い価格で商品が手に入る可能性がある。しかし、落札できずにお金だけ支払うことになってし まう可能性がある。落札できなかった場合には、つぎ込んだお金を無駄にしないために次もまた入札してし まう。しかし、次も落札できない・・・
結局、大損してしまう。
そんな危険性があります。
「安く落札できたよ」なんて嘘をついたら、他の人は、「安く落札できるんだったら私もやろう」なんて 軽い気持ちで手を出してしまうおそれがあります。
今回の嘘は、不当に他人を危険にさらす行為だったといえるでしょう。
6 ただ、嘘をつくことはもちろん良くないですが、嘘をついているんじゃないかと疑うことも重要です。
うまい話を目の前にすると、他のことが見えなくなったりします。
その時に、第三者の意見を聞くことは重要です。
あとで不利な立場にならないようにするために、弁護士に相談してトラブルを防ぐということもできます。
これから取引をするにあたって、トラブルを未然に防ぎたい方は、J.ウィング総合法律事務所まで、ご相談ください。
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