2014年06月06日

第4回「ペニーオークション詐欺事件」

1 まず、この「ペニーオークション」とは、どういうものなのか、ご説明します。

  通常のネットオークションとの比較で説明しますと、通常のネットオークションは、出品者が出品手数料 等を支払い、入札者は落札した場合のみお金(落札額)を支払います。落札価格も入札者が決定します。
  通常のネットオークションでは、出品者からの手数料収入によって運営されています。
  これに対し、ペニーオークションでは、まず出品物は運営者が用意します。
  当然、出品手数料はかかりません。
  逆に、入札者は、入札するごとに手数料を支払わなければなりません。
  そして、入札額は、入札ごとに自動的に上がっていきます。入札には制限時間が設けられているのです  が、制限時間が迫っても、新たに入札が行われれば時間が延長されます。新たに入札が行われる限り、入札 額は無限に上がり続けます。
  この仕組みから分かるように、運営者は、入札者からの手数料及び落札されたお金から収入を得ることに なります。

2 もっとも、ペニーオークションというシステム自体は詐欺ではありません。
  詐欺というのは、嘘を言って、被害者からお金をだまし取る行為をいいますが、ペニーオークション運  営者は嘘を言っているわけではありません。

3 先日、ペニーオークションに関して、詐欺事件が発生しましたが、今回の運営者は、運営側がロボットを 使って、自動的に入札する仕組みを利用していました。
  制限時間間際になっても、運営会社側によって新たな入札が行われ続けるため、一般の入札者は一向に落 札することが出来ず、手数料だけ支払うことになってしまうという仕組みでした。
  これは、運営者側が、落札できない仕組みにもかかわらず、落札できると嘘を言い、入札者にお金を支払 わせていたので、詐欺にあたります。

4 タレントで、頼まれて、お金をもらい、落札していない商品を落札したかのようにブログに載せた方がい らっしゃいましたが、あれは、詐欺にあたらないかが問題となります。
  
  先ほども述べたように、詐欺というのは、嘘を言って、被害者からお金をだまし取る行為をいいます。
  つまり、被害者からお金を取る目的のもと、被害者にお金を出させるような嘘を言って、お金を支払わせ ると詐欺になります。
  単純に嘘を言っただけでは詐欺にあたりません。
  タレントの行為について言うと、たしかに嘘は言っていますが、お金を取る目的のもと、お金を出させる 行為というのがありません。
  もちろん、運営者からお金をもらっていて、運営者とグルになっていれば、共犯ということで詐欺になり ます。
  しかし、今回はそのようなことはなかったらしいので、詐欺というのは難しいでしょう。

5 しかし、だからといって嘘をつくのはよくありません。
  特に、このペニーオークションというのは、先ほどの話からも分かるように、ギャンブル性があります。
  つまり、落札できるかどうか分からないものに対して、お金をつぎ込む。そして、場合によっては、市場 価格よりも安い価格で商品が手に入る可能性がある。しかし、落札できずにお金だけ支払うことになってし まう可能性がある。落札できなかった場合には、つぎ込んだお金を無駄にしないために次もまた入札してし まう。しかし、次も落札できない・・・
  結局、大損してしまう。
  そんな危険性があります。
  「安く落札できたよ」なんて嘘をついたら、他の人は、「安く落札できるんだったら私もやろう」なんて 軽い気持ちで手を出してしまうおそれがあります。
  今回の嘘は、不当に他人を危険にさらす行為だったといえるでしょう。

6 ただ、嘘をつくことはもちろん良くないですが、嘘をついているんじゃないかと疑うことも重要です。
  うまい話を目の前にすると、他のことが見えなくなったりします。
  その時に、第三者の意見を聞くことは重要です。
  あとで不利な立場にならないようにするために、弁護士に相談してトラブルを防ぐということもできます。

   これから取引をするにあたって、トラブルを未然に防ぎたい方は、J.ウィング総合法律事務所まで、ご相談ください。
   http://jwing-lawoffice.com
   東京都新宿区高田馬場1-28-18 和光ビル407



 
posted by 弁護士羽賀裕之 at 20:56| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

第3回「詐欺事件について」

1 最近、詐欺の手口が巧妙化しています。
  先日は、某有名お笑いタレントの方が、タレントのマネージャーを名乗る人物からのメールで詐欺に引っ かかったということがありました。
  今回はたまたま、タレント宛にメールが届いたようですが、一般の方に届く場合もあります。
  そして、被害に遭われた方もいらっしゃいます。

2 被害金を取り戻すためには、早く動くことが重要です。
  詐欺を働いている業者は、会社名を変えたりして転々とすることが多いです。
  時間が経ってからお金を取り戻そうとしても、相手がどこに行ったか分からないということになりかねま せん。

3 もっとも、「早く動く」ということは、必ずしも、すぐ訴訟を起こすということではありません。
  まず、一般の方が誤解していることが多いのが、「裁判で勝つ」イコール「お金を取り戻すことができ  る」ではないということです。
  裁判で勝ったとしても、それは、「被告は原告にいくらいくら支払え」という判決をしてもらうにすぎ  ず、それだけではお金を取り戻すことはできません。
  お金を取り戻すためには、勝訴判決をもとに別途強制執行という相手方が持っている財産を強制的に換価 する手続を申し立てなければなりません。
  そして、ここが日本の法制度の限界を示しているのですが、相手方の財産は基本的に請求する側が調査し なければなりません。裁判所が勝手に調べてくれるということはありません。
  詐欺を働いている業者の財産を調べることは容易ではありません。

4 もっとも、相手の財産が分からないからといって、被害金を取り戻すのが無理、ということではありませ ん。
  先ほど、「詐欺を働いている業者は、会社名を変えたりして転々とすることが多い」と述べましたが、そ れでも事業を行うにあたって、一定期間留まらざるを得ません。
  つまり、銀行取引やカード取引のために、一定期間会社として存続していないといけないのです。
  そして、こちらが突くのは、そこになります。
  つまり、銀行やカード会社に連絡をする。そうすると取引停止をされたくない業者は、被害金返還を申し 出てくることがあります。
  裁判を起こすよりも、早く、そして効果的です。

5 他に被害金を取り戻す上でポイントになることとしては、相手にお金を支払ったという証拠です。
  銀行振込であれば、振込明細書。電子マネーであれば、利用明細書です。

6 証拠が手元にない場合でも、カードを利用している場合であれば、カード会社に問い合わせて利用履歴を 取り寄せることができます。
  そして、カード会社と加盟店(詐欺会社)との間に入っている代行会社にも問い合わせていくことで、被 害金返還の可能性が高まります。

7 弁護士費用は、高額ではないかと心配される方もいると思いますが、J.ウィング総合法律事務所では、  出会い系詐欺等に関しては、着手金無料、完全成功報酬でやっています。現実にお金が戻ってきた場合の み、弁護士費用が発生します。

  詐欺被害に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所まで。
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posted by 弁護士羽賀裕之 at 18:57| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

第2回「不倫について」

1 不倫をした側からの離婚請求は、原則として認められません。
  なぜなら、法は、法を守っている者を守りますが、法を自ら犯したものには手を貸さないという原則があ るからです。
  ただし、どのような場合にも認めないというわけではありません。
  判例によると、①長期間の別居、②未成熟子がいないこと、③離婚請求を認めることが社会的正義に反す る特段の事情がないこと、という事情があると離婚を認めています。

2 「①長期間の別居」がどれくらいの期間を指すのかは、一概には言えず、夫婦の年齢や同居期間との対比 によって判断されます。
  同居期間が短ければ、比較的短期の別居期間でも離婚が認められますが、逆に同居期間が長いと、10年 以上の別居期間があっても離婚が認められない場合があります。

3 「③特段の事情がないこと」とは、離婚を認めることによって、不倫をしていない配偶者が酷な状況に置 かれないようにしましょうということです。
  具体的には、今まで生活費もろくにもらっていなかった状況で離婚が認められては、不倫をしていない配 偶者が離婚後生活に困窮してしまうので、そのようなことは、ないようにしましょうということです。
  逆に言うと、別居期間が微妙な場合でも、しっかりと生活費を負担していた場合には、離婚が認められや すくなります。

4 配偶者がいる人と不倫をした場合、謝罪の義務があるかという問題ですが、もちろん、不倫は、夫婦の貞 操義務を侵害した違法な行為なので、謝るのが好ましいことではありますが、日本の法律は金銭賠償の原則 といって、基本的には金銭支払義務しか課していません。
  よって、謝罪する義務はない、と言わざるを得ません。
  「謝らないと会社にばらすぞ」などと言って謝罪させれば、逆に、強要罪という犯罪になりかねません。

5 不倫をした場合の慰謝料の金額ですが、慰謝料の金額は法律に定められているわけではなく、ケースバイ ケースです。婚姻期間、子の有無、不倫の期間、頻度、等の事情によって左右されます。
  ただ、誤解をおそれずに大体の目安を言えば、離婚に至らないケースで100万円から200万円、離婚 に至ったケースで200万円から300万円くらいです。

6 別居をした後に不倫をした場合でも、慰謝料は支払わなければならないのかという問題ですが、まず、婚 姻関係が破綻した後の不倫の場合は、慰謝料支払義務はありません。
  そして、別居というのは、婚姻関係が破綻したという一つのメルクマールになります。
  よって、別居後の不倫の場合は、特段の事情のない限り慰謝料支払義務は発生しないことになります。

  離婚や不倫に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所まで。
  http://jwing-lawoffice.com
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posted by 弁護士羽賀裕之 at 17:50| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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