今の日本の民法における典型契約と呼ばれるものの中には、要式契約というものは定められていないの で、通常の契約は書面を作らなくても成立すると言っていいでしょう。
2 もっとも、契約を締結するときには、契約書はいらないかというと、そうではありません。
お互いが言ったことを全て覚えていて、約束通り全てを実行する、というのが理想でしょうが、世の中、 そんなにうまくいきません。
「あれは言っていない」とか、そもそも「契約なんて成立していない」なんて言われかねません。
そして、裁判になった場合、契約の成立を立証しなければいけないのは、「契約が成立していた」と主張 する側です。
書面がない場合に、契約の成立を立証するのは、簡単ではありません。
逆に、書面があれば、契約の成立が推認され、「成立していない」と主張する側が、相当の証拠を出さな いといけなくなります。
3 今はネット社会なので、インターネットで契約書のひな形が簡単に手に入ります。
ただ、法律を知らなくて、そこに書かれている言葉の意味、契約に与える影響というものを分からずに作 成してしまっては、かえってトラブルの元になります。
弁護士に頼めば、トラブルを出来るだけ少なくし、トラブルになった場合でもこちらに出来るだけ有利に なるような契約書を作成することが出来ます。
弁護士は、法律のプロなので、契約書などの書面を作成する場合には、弁護士に頼むべきです。
4 口頭での契約といえば、こんな事例があります。
結婚式の三次会に参加したときに、突然、男性から「二次会の景品でデジタルフォトフレームあたったん だけど、俺使わないからあげるよ」と言われた。最初は断っていたけれども、ずっと欲しかったので、も らってしまった。
その後、二人は付き合ったが、一か月後に喧嘩して別れてしまった。
すると、男性が、「あのデジタルフォトフレームのお金払えよ。」って言ってきた。あげたのではなく て、売ったのだから、代金を払えと。
この方は、お金を払わなければいけないのか、という問題です。
5 まず、法律的に言うと、「あげます」「もらいます」ということで合意が成立しているので、これは贈与 にあたります。
そして、民法では、契約書などの書面を作成していない贈与は、いつでも撤回することが出来ることに なっています。
ただし、書面を作っていなくても、現実に交付してしまっている場合は、撤回することができなくなりま す。
今回は、既に交付しているので、もはや撤回はできないということになります。
結論としては、返さなくていいし、お金も払う必要はないということになります。
ただ、裁判になったら、どうかという問題があります。
仮に裁判になったら、売買契約が成立したのか否かが争点になるでしょう。
そして、上述したように、契約の成立を立証しなければいけないのは、「契約が成立していた」と主張す る側、つまり男性側になります。
受け取った方が、「売買契約は成立していなかった」と立証する必要はないんです。
男性側は、契約書なくして、売買契約の成立を立証しなければなりません。
上述したように、これは簡単なことではありません。
6 以上、申し上げてきたとおり、やはり、書面は大事です。
あの人は絶対大丈夫だから、と言っていても裏切られることはよくあります。
後悔しないためにも、あらかじめ弁護士に相談しておくことをおすすめします。
契約書の作成・チェックは、J.ウィング総合法律事務所まで。
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