そして、労働組合等と、時間外労働させることができる、という協定を結んだ場合には、時間外労働させることができます。
この協定は、労働基準法36条に規定されているので、「36(サブロク)協定」と呼ばれたりします。
そして、36協定を結んだ場合でも、現実に時間外労働させた場合には、所定の割増賃金を支払わなければいけません。
2 どのような勤務形態の場合でも、一日8時間以上働いたら、残業代がもらえるというわけではありません。
たとえば、いわゆる管理職にある人の場合は、一日8時間以上働いたとしても残業代を請求できません。
もっとも、役職名から形式的に判断するのではなく、職務内容、時間管理を受けているかどうか、地位にふさわしい処遇を受けているかなどといった事情から、労務管理につき経営者と一体の立場にあるか否かについて、実質的に判断します。
3 「もともと賃金に残業代が含まれている」とか「各種手当を払っているから、さらに残業代を支払う必要はない」という主張は、許されるか?
固定残業代制度、つまり残業代を定額で支払うというのは、それ自体は否定されません。
しかし、それが有効であるためには、①割増賃金部分が通常の労働に対する賃金部分と明確に区別されていること、②当該手当が時間外労働に対する対価としての実質を有すること、③手当の額が労働基準法所定の割増賃金額を上回っていること、この3点が必要となります。
この3点を満たさない限り、先ほどの主張は許されません。
4 タイムカードがないと残業代が請求できないとは限りません。
時間外労働をしたか否か、どれくらい時間外労働をしたか、というのは労働者が立証しなければなりませんが、その立証手段は、タイムカードに限りません。
業務日報や、パソコンのログイン記録、業務上送信したメールの時間記録も証拠となりますし、労働者自身が労働時間をメモしたものも証拠となります。
5 残業代は、2年で時効にかかります。
よって、残業代が請求できるのは、遡って2年分ということになります。
6 なかなか、在職中に声を上げることは難しく、実際には、解雇や辞職するタイミングで請求することが多いです。
7 残業代を正確に出すためには、複雑な計算式を用いなければならないので、一般の人にはなかなか難しいかもしれません。
そういった方々のために、J.ウィング総合法律事務所では、無料で残業代を計算するというサービスを行っています。
残業代の計算を依頼したからといって、必ずしも残業代の請求についてご依頼する必要はありません。
計算結果を見てから、改めてご依頼いただければ結構です。
残業代や解雇等の労働問題に関する相談は、J.ウィング総合法律事務所(弁護士羽賀裕之)まで。
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