「先日、雑誌の懸賞で、当選者数を実際より多く表示する水増し問題が起きました。
これは、法律的にどのような問題があるのでしょうか?」
2 「不当景品類及び不当表示防止法」略して「景表法」という法律が問題となります。
景表法は、不当な表示などによって、一般消費者が誤解して不利益を被らないように、不当な表示を禁止するなどの規制を行っています。
今回問題となった雑誌においては、各種景品について、それぞれ1名から50名に当選すると表示していましたが、実際には、それよりも少ない人数にしか、景品を発送していませんでした。中には、全く送っていないものや、50名に当選すると表示していながら、3人にしか送っていないというものがありました。
3 今回の当選者水増しは、景表法4条1項2号の「有利誤認」というものにあたるとされました。
「有利誤認」とは、価格などの取引条件について、実際のものや、他社のものよりも、著しく有利であると誤認させるような表示のことをいいます。
たとえば、「当選者の100人だけが割安料金で契約できる旨表示していたが、実際には、応募者全員を当選とし、全員に同じ料金で契約させていた場合」、「『他社商品の2倍の内容量です』と表示していたが、実際には、他社と同程度の内容量にすぎなかった場合」などが「有利誤認」にあたります。
「有利誤認」は、消費者の判断を誤らせ、消費者の利益を害することになるので、景表法で禁止されています。
4 違反した場合には、「措置命令」というものの対象になります。
「措置命令」とは、消費者庁長官が、違反者に対し、その行為の差し止めや、再び起こらないように防止措置を講じることなどを命令することをいいます。
今回、具体的には、
① 対象商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるものであり、景表法に違反するものである旨を一般消費者へ周知徹底すること。
② 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
③ 今後、同様の表示を行わないこと。
これら3点について、命令が行われました。
5 報道によれば、内部告発した人が、「景品を窃取した」ということで懲戒解雇されたとのことです。
懲戒解雇するためには、当然、懲戒事由に該当することが必要ですが、会社側がそれを立証できるか、つまり、その人が景品を盗んだことを立証できるかどうかが問題となります。
はっきりとした事実関係が分からないので、断定的なことは言えませんが、経緯からすれば、内部告発して会社に反抗したから解雇された可能性が高いと思います。
仮に、そのようなことがあれば、決して許されるものではありませんし、もちろん解雇は違法・無効です。
6 「ブラック企業」という言葉が最近話題になっています。
労働者というのは、非常に弱い立場にあり、声を上げづらいというのが現状です。
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