「私は、マンションの3階に住んでいます。
ベランダに洗濯物を干していたら、上からジュースみたいなものが降ってきて洗濯物にかかり、ベトベトになりました。
洗濯物は洗い直しをしなければならず、また、ベランダの掃除も大変でした。
降ってきたのが4階かその上か分からなかったので、とりあえず管理人に連絡をしたら、『どこから降ってきたか分からないので、次あった時に、どこから降ってきたのかを確認するしかない。』と言われました。
このような場合、どうすればいいのでしょうか?」
2 まず、この場合、建物管理上の不備とは言いづらいので、管理人に対する管理責任の追及は難しいでしょう。
次に、上の階の人が、誤って何かを落とし、それによって損害を被っているので、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられます。
しかし、この請求をするためには、相手方を特定し、それを立証する必要があります。
今回は、「上の階の人」ということまでは分かっていますが、それが4階なのか5階なのか、もっと上の階の人なのかが分かりません。
もっと言うと、風に流された可能性もあるので、真上とは限りません。
3 降ってきて、すぐ上の階に行き、「ジュースをベランダからこぼしたか否か」を片っ端から聞いていき、自白する方がいればいいですが、そうでなければ特定・立証は難しいでしょう。
部屋の中に無理矢理入って確かめるわけにもいきません。仮にそのようなことをしたら、住居侵入罪になってしまいます。
ただ、今回とは違って、「刃物が落ちてきて怪我をした」ということになると状況は変わってきます。
なぜなら、「過失傷害罪」という犯罪が関わってくるからです。
犯罪ということになれば、警察が動き、強制捜査、つまり、部屋に強制的に入って捜査をする可能性があります。
そうすると、誰が刃物を落としたのか、という特定ができ、損害賠償請求をすることが出来ます。
4 次の質問。
「私は、ある劇団でミュージカルに出演しています。
最近、本番寸前に衣装の靴が無くなって裸足で舞台に立つことがありました。
本番が終わって、ふと気づくと元の場所に靴があります。
他にも、衣装のスカートが裂かれたり、ジッパーが壊されたりということがありました。
私が苦労しているのを見て、笑っている女性がいたので、問いただしましたが、全く認めず、話になりませんでした。
嫌がらせかどうか分からないのですが、何かいいアドバイスをください。」
5 仮に、その女性がやっているとすれば、不法行為に基づく損害賠償支払義務が発生します。
また、器物損壊罪という犯罪にもなります。
この場合も、本当にその人がやったのか、という立証が問題になります。
その女性は認めていないということなので、他の手段によって、立証をしなければなりません。
自分で防犯カメラを設置するということも考えられますが、費用などの問題があり、現実的ではないと思います。
一番いいのは、その劇団の代表者など上の人に相談することです。
そうすることによって、その女性の動きに注意を払ってくれて、目撃証言などが得られる可能性もありますし、劇団員の同意を得た上で、防犯カメラを設置してくれるかもしれません。防犯カメラの存在自体が抑止力になるでしょう。
あとは、仲間・味方をいっぱい作るということです。
疑心暗鬼になって、容易ではないと思いますが、そうすることによって、より多くの証言が得られることになります。
不法行為に基づく損害賠償請求に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所(弁護士羽賀裕之)まで。
http://jwing-lawoffice.com
東京都新宿区高田馬場1-28-18 和光ビル407
にほんブログ村