2014年06月24日

第36回「ストーカー規制法について」

1 質問
  「先日、ストーカーによる殺人事件が起きました。
   被害者の女性は、警察にも相談に行っていたようですが、防ぐことはできなかったのか、と残念でなりません。
   ストーカーに関する規制はどうなっているのでしょうか?」

2 ストーカー規制法という法律があります。
  これは、「桶川ストーカー殺人事件」を契機として、平成12年に制定された法律です。
  それまでは、ストーカー行為について、軽犯罪法や迷惑防止条例で取り締まるか、傷害や脅迫などに発展してから刑事事件として処理するしかありませんでしたが、被害を未然に防ごうということで、ストーカー規制法が制定されました。

3 ストーカー規制法は、二つのことを規制対象としています。
  一つは「つきまとい等」です。
  「つきまとい等」とは、
  特定の者に対する恋愛感情その他の好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、その特定の者又はその家族などに対して行う、次の8つの行為をいいます。
  一つ目が、つきまとい・待ち伏せ・押しかけ
  二つ目が、監視していると告げる行為
  三つ目が、面会・交際の要求
  四つ目が、乱暴な言動
  五つ目が、無言電話、連続した電話、ファックス、電子メール
  六つ目が、汚物などの送付
  七つ目が、名誉を傷つける
  八つ目が、性的羞恥心の侵害
  です。
  五つ目の、電子メールというのは、以前は、規制対象に含まれていませんでしたが、今回の改正によって追加されました。
  そして、ストーカー規制法が規制対象としている、もう一つが「ストーカー行為」です。
  「ストーカー行為」とは、
  同一の者に対し、「つきまとい等」を繰り返して行うことをいいます。
  ただし、「つきまとい等」のうち、先ほどの一つ目から四つ目については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限ります。

4 これらの行為があった場合の対処。
  まず、「つきまとい等」があった場合に、被害者が警察署に相談に行くと、警察署長などが加害者に対して「警告」を行います。
  この「警告」は文書でなされるのが原則ですが、緊急を要する場合などは「口頭」でなされることになります。
  「警告」したにもかかわらず、さらに加害者が「つきまとい等」を行った場合には、公安委員会による「禁止命令」がなされます。

5 罰則について。
  まず、「ストーカー行為」を行った場合には、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることになります。
  この場合は、「親告罪」といって、被害者からの告訴がないと罰せられないので、処罰を求める場合は、必ず告訴をしないといけません。
  次に、「禁止命令」に違反して「つきまとい等」や「ストーカー行為」を行うと、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることになります。

6 このような制度があるにもかかわらず、事件が起きてしまった理由としては、警察の人員の問題や、警察の姿勢・意識などの問題があると思います。
  ただ、これらの問題は、すぐには解消されないでしょう。残念ながら、これらの不十分さを前提に行動せざるを得ません。
  警察だけでなく、周りの方がサポートをすることが大事です。
  初期の段階であれば、弁護士からの内容証明郵便で、事態が収まることもあります。
  なるべく早く、周りの方に相談することが大事です。


  ストーカー行為に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所(弁護士羽賀裕之)まで。
  http://jwing-lawoffice.com
  東京都新宿区高田馬場1-28-18 和光ビル407

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posted by 弁護士羽賀裕之 at 21:39| Comment(0) | 日記 | 更新情報をチェックする

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