1 質問
「最近、憲法96条の改正や、集団的自衛権など、憲法のことが問題となっていますが、そもそも憲法とは何でしょうか?」
2 憲法とは、簡単に言えば、国家のあり方を定めた基本法です。
ただ、この意味での憲法はどの時代にもあり、重要なのは、日本の憲法が立憲主義に基づいた憲法だということです。
3 立憲主義とは、国家の権力を制限して、国民の基本的人権を守るという思想です。
なぜ、このような考え方に至るかというと、それは、歴史的経緯によります。
かつては、国民の権利は、国家から与えられたものとして、国家によって制限されてきました。
しかし、基本的人権というのは、国家から与えられたものではなく、人が人であるために、当然に有している権利です。
そのような権利を侵害されないために、国家の権力を制限したのが、立憲主義に基づく憲法です。
4 日本の憲法というと、平和主義を定めている憲法9条が、真っ先に頭に思い浮かぶ方は、多いと思います。
しかし、平和主義というのは、「手段」であって、「目的」ではありません。
真っ先に思い浮かべてほしいのは、「目的」です。
「日本の憲法の目的が何条に規定されているか?」とほぼ同じ意味の質問「日本の憲法で一番重要な条文は何ですか?」
この質問に対し、安倍首相は、「逐条的に聞かれても・・・」などとごまかし、答えませんでした。
日本の憲法の目的は、13条に規定されている「個人の尊重」です。
国民それぞれが個人として尊重されなければならない。
そのためには、平和でなければならない。つまり、個人の尊重が目的で、平和主義が手段なのです。
このことを大前提として、憲法の各条文を考えなければいけません。
憲法改正を声高に掲げている首相が、このことを理解していない。これが現状です。
5 憲法の勉強というと難しそうな気がすると思いますが、今は、憲法に関する本がたくさん出ていますし、日弁連もホームページで「憲法って、何だろう?」と題する絵本を公開して、分かりやすく説明しています。
また、是非、芦部信喜先生の「憲法」という本も読んでいただきたいです。
芦部先生は、憲法学の大家であり、憲法を学ぶ上では、絶対に避けて通れない人です。芦部先生の本を読まずして、「憲法を学んだ」とは絶対に言えません。
ちなみに、安倍首相は、芦部先生を知りませんでした。
多くの方が憲法について、しっかり学び、権力の監視を不断に続けることを望みます。
J.ウィング総合法律事務所(弁護士羽賀裕之)は、相談者の方、依頼者の方、個人個人を尊重し、人権が踏みにじられないよう全力を尽くします。
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