「最近は、本業の他にバイトをし、自宅のローン返済などにあてる人がいると聞きます。
副業を認める企業が増えているのか、内緒でしているのでしょうか。
副業が見つかった場合は、クビになってしまうのでしょうか?」
2 副業というのは、兼業とは二重就職とか言われたりします。
副業については、就業規則において、「会社の承諾を得ずに他社に雇われ、または自ら事業を営むこと」を懲戒事由とするなど、禁止している会社が多いと思われます。
これは、本業に影響が出ては困る、というのがその制定理由だと思われます。
3 禁止されているにも拘らず、副業をしてしまったら、クビになってしまうのか?
これは、「労働者の私生活の自由」との関係をどう考えるかという問題です。
つまり、本来、労働者というのは、就業時間以外の行動について、何ら会社から規制を受けないのが原則です。
なぜなら、就業時間以外の行動全てについて、会社から規制を受けてしまっては、労働者の人権が侵害され、私生活の自由というのがなくなってしまうからです。
一方、無制限に副業というのを許してしまえば、会社の利益が損なわれる可能性があります。
会社の利益と労働者の利益というのはバッティングしています。
そこで、この両者の利益のバランスを取り、懲戒事由を限定的に解釈するという方法が取られています。
つまり、「労務の提供や事業運営、あるいは企業の信用・評価に支障の生ずるおそれのある兼業」に限って懲戒の対象とするという考え方です。
裁判例の多くは、この考え方を取っています。
4 例えば、深夜に及ぶ長時間の勤務で翌日の勤務に影響を与えるものや、競合する会社への就職・事業経営など事業運営を害するもの、が懲戒事由にあたるとされた事例があります。
逆に、懲戒事由に該当する副業でも、会社がそれを黙認していた場合には、懲戒処分は、権利の濫用として無効とされた事例もあります。
5 懲戒事由に該当するからといって、全てクビではありません。
懲戒処分というのは、「処分の相当性」というのが求められます。
つまり、懲戒の対象となる行為に対して、処分が不当に重い場合には、その懲戒処分は無効となります。
クビ、つまり解雇というのは、懲戒処分の中で、最も重い処分ですから、その該当性については、慎重に判断する必要があります。
6 副業をするということは、それだけ、私生活の自由がなくなるということですから、そのような働き方をしなくても済む社会になってほしいです。
懲戒処分や解雇に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所(弁護士羽賀裕之)まで。
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