「先日、大雨だったので、最寄の駅を出てすぐに、手を挙げてタクシーに乗りました。
しばらくして気づいたのですが、白タクだったのです。
しかし、それを言うと怖いので、家の近辺まで知らぬふりをしました。
降りるときに料金を聞いたら、5000円と言われました。
普段は1500円くらいなので、『高い』と言いましたが、『あなたが分かって乗った』と言われました。
あまり揉めると怖いので、5000円を払いました。
タクシーとよく似たライトが天井とフロントについていたのと、夜だったので分かりませんでした。ナンバーを控えているのですが、どこに届ければよいのでしょうか?
多く支払ったものは、取り返せるのでしょうか?」
2 まず、白タクというものについて、ご説明いたします。
タクシーのようにお客さんを車に乗せて料金を取る事業のことを、「一般旅客自動車運送事業」といいますが、一般旅客自動車運送事業を営むには、国土交通大臣の許可を得なければならないと、道路運送法4条に規定されています。
そして、この許可を得たタクシーには、緑地のナンバーが交付されます。
これは、皆さんがよく見かけるタクシーだと思います。
これに対して、許可を得ていないタクシーは、緑地のナンバーではなく、通常の白地のナンバーとなります。
このナンバーの色から、許可を得ていないタクシーのことを通称「白タク」と呼んでいます。
3 道路運送法96条には、無許可で一般旅客自動車運送事業を営んだ者は、三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する、と規定されています。
4 法律の規定の中には、それに違反すると契約の効力までも否定されるものと、必ずしもそうではないものがあります。
後者を「取締規定」とか「取締法規」と言ったりします。
先ほどの道路運送法4条は、取締規定と解されていますので、白タクとの契約が当然に効力を否定されるわけではありません。
5 例えば、あまりにも高額であれば、公序良俗違反として無効となる余地があります。
また、例えば、暴力や脅迫をして、お金を取ったという事情があれば、契約を取り消すことが出来ます。
今回は、通常1500円のところ5000円ということなので、公序良俗違反とまで言えるかは微妙です。また、「あまり揉めることをしなかった」ということなので、契約を取り消す場合にあたるというのも難しいと思われます。
今回は、気づいた時点で、通常の料金を支払って降りるか、値段の交渉をして目的地まで行くか、のどっちかを選択すべきだったと思います。
6 ナンバーを控えているということなので、契約の有効性とは別に、罰則付きの法律に違反しているわけですから、警察に届け出るべきだと思います。
契約の有効性に関するご相談は、J.ウィング総合法律事務所(弁護士羽賀裕之)まで。
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東京都新宿区高田馬場1-28-18 和光ビル407
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